他動詞と自動詞

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「冬の陽の真黒き雲に沈むれば海鳥なきて激しく飛びかう」(がんこきよ)
先日、ある漁港に写真を撮りに行ったとき、夕日が黒雲に隠れて沈んだ時に、海鳥が騒いで飛び回っていました。その情景を詠ってみました。添削宜しくお願いします。また「沈むれば」と言う表現が文法上正しいのか・・・ご教授願います。

何か劇的な情景のようですね。海鳥たちにも、太陽が雲に隠れて暗くなることは不気味なのでしょうか。なお、終止形で考えて、口語の「沈む」は、文語でも同様に「沈む」ですが、未然形が「沈ま」で、この「ま」の発音が ma で a-音を取りますね。そのときは四段活用(マ行)の動詞と解ります。すると、その変化は<沈ま(ず)、沈み(て)、沈む、沈む(時)、沈め(ば)、沈め>(それぞれ、未然形、連用形、終止形、連体形、已然形、命令形)となりますね。ですから、「沈むれば」とはならず「沈めば」ですね。自ら読んでみて変だと思われたので、質問されたのでしょう。つまり、文法は言葉遣いの習慣をまとめたもの、ということが、そのことからも解ります。なお、ついでに書きますが、以上の「沈む」は自動詞(述べる主体自体の行為)です。一方、同類の動詞の他動詞(他に働き掛ける行為)に口語なら「沈める」があります。(つまり、何かを「沈める」(他動詞)わけですね。)これの文語は「沈む」で、終止形では自動詞と同形です。これは<沈め(ず)、沈め(て)、沈む、沈むる(時)、沈むれ(ば)、沈めよ>と変化しますね。未然形が「沈め」で、「め」の発音が me で、e-音です。この時は下二段活用(マ行)の動詞です。そして、已然形は「沈むれ(ば)」です。お作ではこれを使われた形ですが、ただお作では「冬の日」が雲に沈むわけですから、自動詞でないとまずいわけです。つまり、自動詞であるべきところに他動詞を使われたことが、読んで変な感じを与える理由です。

添削:
「冬の日の真黒き雲に沈みゆき海鳥さわぎて激しく飛びかふ」(がんこきよ)

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